クイックドロー(ヌンチャク)の選び方

リードクライミングにおいて必要なクイックドロー(ヌンチャク)。色々な種類があって何を選んだら良いのかわからないクイックドローの特徴と選択方法を紹介します。


比較しやすいようにBlackDiamondで解説

クイックドローはクライミング用品を扱う各メーカーから発売されています。今回はクイックドロー機能比較がしやすいようにBlackDiamondの製品で解説します。

軽さは正義

リードクライミングでは通常1つのルートをトライするのに8~15本クイックドローを使用します。クイックドローはハーネスのギアラックにかけて使用します。

クイックドロー1本の重さは50~120gほど。50gの軽量クイックドローを10本持てば総重量は500g。120gのクイックドローを10本持てば総重量は1200gと2倍以上重量差があります。

クイックドローは軽ければ軽いほどクライミングしやすくなります。しかし軽くて丈夫な材料は高価なので、その分お値段も高くなります。


BlackDiamondはオズ クイックドローが最軽量で66g

オンサイトトライやロングルートで威力を発揮します。どうしても落としたいルートがあるなんて時に最適なクイックドローです。


BlackDiamondにはよく似たシリーズにフードワイヤー クイックドローがあります。

こちらは、軽量のオズからフードワイヤーになったモデル。フードワイヤーとなることで重量は82gと16g増えていますが、クローズドゲート時の強度がオズと比較して4kN強化されています。

軽さも必要だけど、強度も欲しいという場合はこちらを選択しましょう。


ワイヤーゲートとキーロックゲート

軽さに影響を与える要素としてカラビナのゲート形状があります。

左側にあるワイヤーゲートの方が軽くなります。一方右側のキーロックゲートはワイヤーゲートに比べて重量がありますが、ワイヤーゲートのような溝がないため、回収時にアンカーに干渉したり、ロープが引っかかる心配がなくスムーズな回収が可能です。

同じワイヤーゲートでも、溝を無くしキーロックゲートと同様、回収をしやすくしたのがフードワイヤーゲートです。溝の上に金属で蓋がしてあり干渉を回避できます。



クリップのしやすさ

ロープをクイックドローにクリップする際の掛けやすさも重要なポイントです。


BlackDiamondではアンカークリップ側のカラビナが、親指でゲートのオープンがしやすい溝を掘ったエルゴノミック形状と溝のない通常形状の2種類のキーロックゲートがあります。


またロープクリップ側のカラビナが片手でカラビナを固定しやすい溝を掘ったライブワイヤーがあります。このエルゴノミック形状とライブワイヤーを組み合わせたクイックドローがライブワイヤー クイックドローです。

重量は106gありますが、クライミングジム等スポーツクライミングにおいて威力を発揮しそうです。


ストレートゲートとベントゲート

キーロックゲートにはロープのクリップをしやすいようにゲートにカーブを付けたベントゲートがあります。ベントゲートになっているカラビナは必ずロープをクリップする側となるので、両側がキーロックゲートになっているクイックドローでは目印にもなります。


ワイヤーゲートとベントゲート

ワイヤーゲートとキーロックゲート(ベントゲート)では個人差もありますが、一般的にワイヤーゲートの方がクリップのしやすいと言われています。

それは円形のロープに対して、ワイヤーゲートの方が2点でロープ断面を捉えることができる一方でキーロックゲートは円形であるため点でロープ断面を捉えるためチカラが逃げやすいと言われているからです。


一方キーロックゲートのメリットとして、アンカーへクリップをした際のバランスの良さ。ワイヤーロックゲートのように溝がないのでアンカーに引っかかる可能性を低減してくれます。



そのようなことから、クイックドローの上下両方にキーロックゲートが付いたタイプ、アンカーへクリップする上部がキーロックゲート、ロープをクリップする側がワイヤーロックゲートとなったタイプ、そして上下両方にワイヤーロックゲートが付いたタイプの3種類用意されています。

 ポジトロン クイックドローの重量は12cm=107g、18cm=110gと全タイプの中で一番重め。


 ポジワイヤー クイックドロー の重量は12cm=103g、18cm=105gとポジトロン クイックドローに比べて4g軽量です。

フリーワイヤー クイックドローの重量は100gとポジトロン クイックドローに比べて7g軽量。BlackDiamond中最軽量のオズ クイックドローの66g比べると34gの差があります。


値段の安さ

これまで「軽さ」と「クリップのしやすさ」からクイックドローを見てきました。リードクライミングをする場合、クイックドローは1本だけでは足りません。ルートによって必要なクイックドローの数は異なりますが、通常1ピッチ10~15本のクイックドローが必要です。

値段の安さというのも重要な条件です。



メーカーによっても異なりますが、一般的に上下ワイヤーロックゲートになったクイックドローが安い傾向にあります。ただしワイヤーロックゲートであっても溝をカバーしたり溝を無くすような工夫が施されたモデルはワイヤーロックゲートであっても高い傾向にあります。また軽量化するため特殊な金属が使われているタイプも高くなります。

BlackDiamondではこのフリーワイヤー クイックパック BD10429 ブラック/BDオレンジが最もコストパフォーマンスの高いモデルとなっています。


クイックドローはセットで買うのがお買い得


クイックドローは1本1本バラ売りで購入する方法と6本1セットになったお買い得なモノがあります。少しでも安くお得に買うには、6本セットで購入するのが良いでしょう!


クイックドローを自作

クイックドローはカラビナドッグボーンランナーと呼ばれる専用のスリングを買うことで自作することができます。自分の好きな組み合わせでクイックドローをつくることができ、メーカーからは販売していない安全環付きカラビナ付きのクイックドローをつくる場合役立ちます。

BlackDiamondではナイトロン スクリューゲートが軽量で取り扱いしやすいと思います。

ただカラーバリエーションが無いので、BlackDiamondではありませんが、このような軽量安全環付きカラビナを別途購入することで、上下色の異なるクイックドローになり「アンカー側」と「ロープ側」を視覚的に確認することができるようになります。



安全に使用するために

クイックドローを使用する上で最も気を付けたいのが、クイックドローの上下。

一見同じように見えるクイックドローですが、金属のアンカーをクリップする側とロープをクリップする側が必ず分かれています。

ドックボーンランナーの形状で見分ける

アンカーに取り付けるカラビナ側のドッグボーンランナーは穴径が大きくカラビナが自由に動くように設計されています。一方ロープに取り付けるカラビナ側のドックボーンランナーは径が小さくゴムで固定されています。これはゴムで固定することでロープをクリップしやすくするためです。

上下を間違えて利用すると、アンカーからヌンチャクが容易に外れてしまいとても危険です。

特に人からクイックドローを借りて利用する場合、上下がわからなくなってしまう場合があります。そのような時は落ち着いてドッグボーンランナーの形状を確かめてください。

輪の径が広く遊びが大きい方がアンカー側となります。

詳しくは下記動画を参照してください(中国からの視聴にはVPNが必要です)


ドックボーンランナーの長さ

ドックボーンランナーの長さはメーカーによっても異なりますが、BlackDiamondでは12cmと18cmの2種類あります。軽量化と価格の観点から12cmタイプを購入すれば良いでしょう。18cm等長いものはオーバーハングしていたり、トラバースしている課題で使用します。ただ、60cmスリングカラビナで自作することもできるので、12cmタイプを中心に購入すれば良いでしょう。





クイックドローも消耗品

クイックドローは金属製品なので、長く使用できるような気がしますが、消耗品なので使用前は必ず状態をチェックしてから使用しましょう。

写真:やまろぐ さまより

ロープとの摩擦によって使用毎にすり減っていきます。写真のようにすり減ったカラビナはいつ破断してもおかしくありません。できるだけ早期に買い替えを行い安全なクライミングを行いましょう。



以上クイックドローの種類と特性をBlackDiamondを例にして比較してみました。

BlackDiamondの他にもフランスのPETZLやMAMMUT、ワイルドカントリーからもクイックドローは発売されています。メーカーによって特徴がありますので、ぜひ比較して自分にとって最高のクイックドローを見つけてください。


【おまけ】中国で買うなら

中国でBlackDiamondクイックドローを買うなら天猫旗艦店で買うのが安全です。

2017年のダブルイレブンには、オズ クイックドローの6本セットが11月11日の1日間902元と日本Amazon価格よりも5,000円ほど安く買えそうなので、この機会に天猫でどうぞ!

Climbing in China seen from Japan

I will introduce the situation of climbing in China as seen from Japanese working in Shanghai. There are famous climbing spots in China, including Guilin and the world in China.

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