ハーネスの寿命
ロープクライミングに必要なものと言えば、クライミングシューズ、ハーネス、カラビナ、チョークバックにビレイデバイス。
クライミングシューズはソールがすり減ったり穴があくことで寿命だとわかりますが、その他の道具に関しては一度買ってしまったら一生モノのような気がします。でも実際どうなのでしょう?今回、ハーネスの寿命に関して考えてみます。
意外と短い ハーネスの寿命は3~5年
好日山荘のブログや山登り諸先輩方のブログを読んでみると、ハーネスの寿命は意外と短く3~5年で替換時期が来ると書いてあります。
個人的には「もっと使えるのでは?」と思っていたのですが「化学繊維の経年劣化」による突然の破断を考慮すると毎週外岩やジムで利用したような場合は最短3年、どれだけ外観上問題なくても、製造から10年経過しているハーネスは絶対に使用しないようにしましょうとのこと。大事なことなので2回書きますが「どれだけ外観上問題なくても」です。
一番最初に痛むのビレイループ
ハーネスにおいて、一番最初に痛むのがビレイループ。カラビナを取り付けビレイデバイスを通したり加重や摩擦があるので当然と言えば当然です。万一クライマーをビレイ中に突然ビレイループが破断すれば、クライマーは落下し死亡してしまいます。
自分の道具不良によって、パートナーを死に追いやってしまうことは、ある意味自分が死ぬことよりも辛いことです。「まだ大丈夫だろう」という気の迷いから、一生後悔するなんてことがないように、少なくとも5年以上経過したハーネスは替換するのがよいでしょう。
特に中国ではジムでトップロープを行う場合、ビレイループにカラビナを装着して登る光景をよく見ます。ビレイループが万一破断した場合、バックアップがなければ即墜落です。ビレイループの使用は避け、上下二か所ののタイインポイントにカラビナを通す方が上下の内1本が破断してももう一本がバックアップとなるので安全です。
メーカーの保証期間は?
メーカーによっても基準が異なるようですが、クライミングギアメーカーとして信頼の高いフランスPETZL社の場合説明書に記載されている最長期間は製造から10年です。
※購入日からではなく製造日ですから注意してください。
PETZL説明書の記載内容
記載内容を一部コピーして貼っておきます。
ペツルのプラスチック製品及び繊維製品の耐用年数は、製造日から数えて最長10年です。金属製品には特に設けていません。
注意:極めて異例な状況においては、1回の使用で損傷が生じ、その後使用不可能になる場合があります(劣悪な使用環境、鋭利な角との接触、極端な高/低温下での使用や保管、化学薬品との接触等)。
- プラスチック製品または繊維製品で、製造日から10年以上経過した
- 点検において使用不可と判断された。製品の状態に疑問がある
- 該当する規格や法律の変更、新しい技術の発達、また新しい製品との併用に適さない等の理由で、使用には適さないと判断された
使用しなくなった製品は、以後使用されることを避けるため廃棄してください
安全のためにできること
ハーネスを安全に長く使用するために気を付けておくことをまとめてみました。
購入時に購入日を書いておく
ハーネスを何年利用したのかわからなくなってしまうことを防止するために、タグに購入日を記入しておくと良いでしょう。マジックペンを使ってタグに記入するのが良いと思います。ハーネスの化学繊維は油性ペンの油によって劣化する可能性も否定できないので、安全性とは無関係なタグ部分に記入することをオススメしたいと思います。
ウェストバックルは2種類
ウェストサイズを調整するバックルには、2枚のバックルで構成されたSAバックルと1枚のバックルで折り返しが必要なシングルバックルの2種類あります。最近はSAバックルが主流ですが、折り返しが必要なシングルバックルというものがあるということを知っておけば、折り返しを忘れるという心配がなくより安全でしょう。
ウェストベルトは必ず8㎝以上余裕を
ハーネスを購入する時はサイズを慎重に選びましょう。メーカーにもよりますが、基本的にハーネスのウェストベルトには最小径と最大径があります。腰骨よりも高い位置でベルトを締めましょう。ウェストベルトを締めた状態でウェストベルトに8cm以上の余裕があるようにしましょう。2つあるベルトループ両方に通れば8cmある証拠です。
※冬山でのアルパインクライミングで使用する方は、ベースレイヤー、ミッドレイヤー、アウターレイヤーなどレイヤリングシステムによる厚みも考慮してサイズを検討してください。
ベルトは必ずベルトループに通す
SAバックルでは、万一バックルの付け根部分に枝や硬いモノが挟まってしまうと、ベルトが緩む原因となり危険です。そのような問題が発生しないよう、8cm以上残っているウェストベルトの末端はベルトループに通し枝や硬いモノが入る隙間をなくしておきましょう。
使用後は陰干し
汗を吸ったハーネスをそのままにしておくと、化学繊維の劣化を早めることになってしまいます。だからと言って天日に干すと今度は太陽の紫外線によって化学繊維が劣化してしまいます。使用したハーネスは室内の風通しの良い場所でしっかりと乾燥させて保管しましょう。
ハーネスの洗濯は中性洗剤で
雨などで泥だらけになった場合、酸性の土による化学繊維の劣化を防ぐためハーネスを水洗いします。バケツにぬるま湯をはり、中性洗剤を入れて手洗いします。汚れのヒドイところは歯ブラシで軽く擦るって汚れを取ります。最後にぬるま湯ですすいで水気を取り陰干しします。洗濯機で洗う場合は洗濯ネットに入れ、液体洗剤を使い柔軟剤は使用せず、できるだけ優しいモードで洗うのが良いでしょう。粉末洗剤は使用しないようにしましょう。
買うならどんなハーネスが良いか?
高いハーネスを長年使うよりもお得なハーネスを頻繁に替換
最後に肝心などんなハーネスを買えばよいか?ということについて。
PETZL、BlackDiamond、MAMMUT、 Arc'teryx、WILDCOUNTRY等いわゆる有名メーカーの製品をしっかりとサイズを見て購入すれば、間違いないでしょう。
中でもBlackDiamond(ブラックダイヤモンド)のモーメンタム は値段も1万円以下と手ごろで必要な機能がすべて搭載された優れものです。
1:値段が安い
なんと言っても値段が安いのが、ブラックダイヤモンド モーメンタムの最大のウリ。
正規価格が7,000円代で上位タイプのブラックダイヤモンド モーメンタムDSに比べ2,000円も安いです。
2:バックルはSAバックルのシングルタイプ
穿いたり脱いだりする場合、バックルは2つタイプよりも1つタイプの方が便利です。2バックルタイプはシングルバックルタイプに比べて調整範囲が広く、ビレイループを中心にバランスよく配置することができますが、その分重量も増えます。リードクライミングではシングルタイプで十分でしょう。
3:レッグループに調整機能付き
スポーツクライミング用に軽量化されたモデルでは、レッグループが調整できないものが多い中、ブラックダイヤモンド モーメンタムはレッグループの調整が可能です。また折り返しのバックルの無い「トラックフィット」というシステムなので、調整も楽々です。
4:ギアラックも4つありオールラウンドで使用が可能
スポーツクライミング用のハーネスは軽量で確かに良いのですが、ギアラックが2つに省略されていたり、軽量化によって耐久性が犠牲になっていたりします。(アークテリクスAR-395Aのように軽量化と耐久性両立モデルもあります)ブラックダイヤモンド モーメンタムは軽量ながらも使いやすいギアラックが4つ付いており、あらゆるクライミングで使用可能です。
以上4つの理由からブラックダイヤモンド モーメンタムは非常に良い選択肢ではないかと思っています。2万円以上する高いハーネスを購入して5年以上使用するよりも、こちらのお買い得なハーネスを購入して、3~5年使用して買い替えした方が、より安全なのではと思います。
中国からの購入は天猫のブラックダイヤモンド旗艦店が安心です。
0コメント