ビレイデバイスの選び方

クライミングをはじめるにあたって最初に買うのがシューズ、次にチョークバック。

この2つがあれば、ボルダリングに必要な道具が揃います。

ジムでのボルダリングならこれにブラシを購入するぐらいですが、ロープクライミングをするなら、ハーネスやビレイデバイスが必要です。そこで今回、おススメのビレイデバイスを紹介していきます。

カタチも価格も全く違うビレイデバイス。何を買っていいのか?とても迷うクライミングギアですよね?人の命を預かるビレイですから、道具の特徴を知って自分にピッタリと合ったデバイスを購入したいものです。


【とにかく安全を最優先したい方】

Petzl(ペツル) GRIGRI+(グリグリ プラス)

「とにかく安全を重視したい」という方におススメしたいのが、フランスの老舗メーカーPEZL(ペツル)から2017年6月末に発売されたGRIGRI+(グリグリ プラス)。


ビレイデバイスの種類

ビレイデバイスには大きく分けて2つの種類があります。ひとつは「自動ブレーキ機能」が搭載されているもの。もうひとつは「自動ブレーキ機能」が搭載されていないものです。


GRIGURIの特徴

ここで紹介するグリグリは「自働ブレーキ機能」が搭載されたビレイデバイスの中で、最も有名なものです。グリグリは「GRIGRI」「GRIGRI2」そして2017年に発売された「GRIGRI+」の3つの種類があり、世界中のクライマーに愛用されています。

※2017年時点「GRIGRI」は生産終了、後継機のGRIGRI2のみ購入可能

販売数量が多いので、ビレイデバイスを貸し借りするような場合「GRIGRI」は使用経験のある人が多いので便利です(※注:ビレイデバイスはできるだけ使い慣れた自分のモノを使用するべきであり貸し借りするのは、緊急時限定が前提)


自動ブレーキ機能とは?

「自働ブレーキ機能」とは、ビレイヤーが万一何かの拍子にロープから手を離した場合、クライマーの落下を自動で停止してくれる頼もしい機能です。たとえ故意にロープから手を離すことがないとしても、落石や病気によって突然ビレイヤーが意識を失う、そんな時「自動ブレーキ機能」はクライマーを守る強い味方になってくれます。

GRIGRIの弱点

完璧に思える自動ブレーキ機能を搭載したGRIGRIですが、弱点もありました。最大の弱点は「自動ブレーキ機能」という存在そのもの。自動でブレーキが働くことから十分なビレイ知識や経験もなくGRIGRIを使用してしまい、グランドフォール(地面落下)事故を起こしてしまうことがありました。

「自動ブレーキ機能が付いているのになぜ?」と思うかもしれませんが、GRIGRIはロープの取り付け方向を逆にしてしまうと「自動ブレーキ機能」が働きません。事前に方向をチェックせず、自動ブレーキ機能に頼ったビレイをすることで事故につながりました。

また、GRIGRIはリードクライミングにおけるビレイの場合、ロープの繰り出し方法が特殊です。というのもロープ径やロープ表皮材質の相性が悪いと極端にロープの繰り出しが悪くなり、不要なタイミングで自動ブレーキ機能がかかりクライマーを邪魔してしまうことがありました。そこで、それを回避するため、多めにロープを繰り出した結果落下時にグランドフォールしてしまったというものです。

上述したロープの相性から自動ブレーキ機能が十分に機能しなかったというケースもあったようです。「自動ブレーキ機能」というのは、あくまでビレイヤーをサポートする補助機能であり、それに頼ったビレイをしてはいけないということです。

ちなみに「GRIGRI」は対応ロープ径10~11mm、「GRIGRI2」は対応ロープ径8.9mm~11mm(いずれもダイナミックロープ)となっているので、対応以外のロープは使用しないようにしましょう。


GRIGRIの弱点を克服したGRIGRI+

2017年6月、25年の自動ブレーキ機能付きビレイデバイスを作り続けてきたPETZL(ペツル)が自信を持って発売させたのがGRIGRI+です。

最大の特徴はそれまでのGRIGRIがリードビレイの場合、自動ブレーキ機能を調整するため、ATCとは異なるロープさばきが必要(ビレイデバイスを銃を持つように人差し指で固定し親指でロック解除)だったのに対して、GRIGRI+では、対応ロープ径が8.9 ~ 10.5mmとほぼ現在主要なロープ径すべてに対応し、リードビレイでのロープ繰り出しによるロックが発生しないような改良を行ないました。(実際のところ引っかかることもありましたが。。。)

また、ロアーダウン(クライマーを降ろす)時にレバーを引き過ぎることによる急落下を防止するための「パニック防止機能」が初搭載されました。


GRIGRIの弱点

そんな死角のない最強のビレイデバイスと思われるGRIGRIですが、弱点をいくつか挙げておきましょう。

① シングルロープ専用:

 自動ブレーキ機能を搭載したビレイデバイスのほとんど(EDELRID MEGA JUL

CT ALPINE UP KIT以外)に言えることですが、GRIGRIはダブルロープでは使用できません。またマルチピッチにおけるセカンドビレイには使用できません。

② ビレイの基本構造&動作が身に付けにくい:

 こちらも自動ブレーキ機能を搭載したビレイデバイスのほとんどに言えることですが、機構が複雑なためロープとデバイスの摩擦係数によってロープのテンションをかけるという基本的な動作を身に付けなくてもビレイができてしまいます。この理由から、最初1個めに買うビレイデバイスとして「自動ブレーキ機能」を搭載したビレイデバイスをおススメしない場合があります。

③ ロープの繰り出しが特殊

 トップロープでは違いはありませんが、リードクライミングにおけるビレイの場合、上述したように、GRIGRI/GRIGRI2ではATCとは異なるロープ繰り出しが必要でした。GRIGRI+の場合改善されてますが、それでも自動ブレーキ機能がロープの繰り出しを邪魔する場合があります。

④ ATCと比較して重たい

 後述するシンプルなビレイデバイスATCと比較して重くなります。GRIGRI(350g)、GRIGRI2(170g)、GRIGRI+(200g)となっています。


まとめ

最初のビレイデバイスとして「自動ブレーキ機能」付きのビレイデバイスを購入することに対して、さまざまな意見がありますが、クライマーの命を守ることを最優先に考えるとGRIGRIシリーズを最初に買う選択は悪くないと思います。

中国でGRIGRI+を購入する方はこちらから、価格は547.5元(1元16円換算で9,192円)と日本で購入するよりも安くなっていますね。


少しでも軽い方が良い、パニックアシスト機能が邪魔という方はGRIGRI2の方が合っています。



【マルチクライミングまで視野に入れるなら】

DMM(ディーエムエム) PIVOT(ピボット)

「最初はまずちゃんとビレイの基本を学びたい」「一生でビレイデバイス買うなら一個だけにしたい」という方におススメなのが、製品は全てイギリス国内生産、イギリスの老舗メーカーDMM PIVOT(ピボット)です。


ビレイの基本を学ぶATCタイプ

シンプルな構造でビレイの基本を学ぶことができるビレイデバイスを総称してATCと言います。ATCとはAir Traffic Controller(直訳:航空交通管制官)の略で、チューブ型やバケツ型、懸垂降下(ラペル)やダブルロープでの使用が可能な2つ穴タイプと、スポーツクライミングに特化した1つ穴タイプがあります。


ATCの特徴

ATCビレイデバイスは「自動ブレーキ機能」がないため、ロープから手を離してしまうと、クライマーはグランドフォール(地面への落下)してしまいます。ですが複雑な機能がないため、ロープさばきを滑らかに行なうことができ何より軽量です。また種類も豊富で軽量に特化したものやマルチピッチにおけるセカンドビレイで役立つ機能を搭載したものなど用途に合わせて選択ができます。価格が安いというのも大きな特徴です。


DMM(ディーエムエム) PIVOT(ピボット)の特徴

DMM PIVOTは2つ穴のV型のATCです。対応ロープはシングルが8.7~11mm、ツインロープなら7.3~9.2mmとほぼすべてのロープ径に対応しています。V型のATCはバケツ型に比べて摩擦係数が高くできるので、女性が男性をビレイする時など、少ないチカラでビレイすることができます。重量は72gとATCの中では比較的軽めですが、ATCに必要な機能がすべてそろっています。これひとつで以後ATCを購入する必要がありません。懸垂降下(ラペル)はもちろんマルチピッチにおけるセカンドビレイにも対応しています。http://dmmclimbing.com/dmm-pivot-belay-device/

DMM PIVOTの大きな特徴は名前の由来となっているピボット機構。

マルチピッチのセカンドビレイでは、ロック解除方法にコツが必要なモノが多いのですが、このDMM PIVOTはそのピボット機構からスムーズな解除が可能になっています。

詳しくは下記動画を参照してください。

DMM PIVOTの弱点

① スポーツクライミングには不要な機能:

DMM PIVOTの一番の特徴であるピボット機構はマルチピッチのセカンドビレイ時に効果を発揮するものなので、そもそもマルチピッチをしない人にとっては意味のない機能になってしまいます。

② 「自動ブレーキ機能」がない:

ATC全般に言えることですが「自動ブレーキ機能」がついていないので、ビレイ動作の基本をしっかりと身に付け、正しいビレイを行う必要があります。

③ 価格が高い

マルチピッチのセカンドビレイに対応した他メーカーの製品(ペツル ルベルソキューブ(77g)定価:¥4,305やブラックダイヤモンド ATCガイド(91g)定価:¥2,940)と比較すると高価です。


まとめ

クライミングをはじめたばかりでは「自分がマルチピッチのクライミングをするなんて先のまた先の話」なんて思いますが、実際やりはじめると思いのほか早くその時期が来てしまったりします。最初は「トップロープしかしないから一番安いもので」と一つ穴のスポーツクライミングタイプを買ったのはいいものの、今度はリードクライミングをするようになり「懸垂降下できるふたつ穴が欲しい」とバケツ型やV型を試していると「やっぱりマルチピッチもやってみたい」とDMM PIVOTに辿り着いたりします。その結果ATCをいくつも所持するなんて人多いのではないでしょうか。

そうならないために、最初の出費には目を瞑り、このDMM PIVOTを購入しておけば、一生付き合う相棒になるはずです。もし「自動ブレーキ機能」付きのビレイデバイスが欲しくなった時には、上記で紹介したGRIGRI+を買い足すと良いでしょう。

DMM PIVOTは結果的に一番お買い得なビレイデバイスではないかと思います。

中国でDMM PIVOT購入の方はこちらから、価格は340元(1元16円計算で5440円)と日本での価格と大差ありません。

※写真では150元となっていますが、これはDMM エイト環の価格でPIVOTは340元になります。



他にもおススメのビレイデバイスがあるのですが、長くなってしまったので今回は自動ブレーキ機能付きとATCのイチオシ2つを詳しくご紹介しました。

他のデバイスに関して、またレポートさせてもらいます!





注:ここで紹介するビレイデバイスの感想はあくまで個人のものであり、製品の品質を100%保証するものではありません。購入&使用においては自己責任でお願いします。当サイトは掲載製品使用による一切の怪我及び事故に対して責任を負いません。




Climbing in China seen from Japan

I will introduce the situation of climbing in China as seen from Japanese working in Shanghai. There are famous climbing spots in China, including Guilin and the world in China.

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